
■ 概要 |シャーマン国際協会
シャーマン(Shaman)は、自然界・霊界と交信する能力を持つとされる人物で、多くの先住民文化や伝統宗教において、治療師、祈祷師、精神的指導者の役割を果たしてきました。
■ シャーマン国際協会の目的と今後の活動
■ 伝統の保存について
・世界各地のシャーマニズムの口承文化・儀式・薬草知識などを記録・保存
・先住民コミュニティとの協力による文化的自律の支援
シャーマン国際協会は、世界各地に存在する多様なシャーマニズムの伝統文化を記録・保存することを重要な使命としています。シャーマン的実践は、単なる宗教的儀礼にとどまらず、その土地の自然観、生命観、医療、倫理、社会構造と深く結びついた、包括的な知の体系です。
これらは多くの場合、書き記されることなく、口承や儀式、日々の暮らしの中で代々継承されてきました。しかし近年、都市化、環境破壊、宗教的・政治的抑圧、若年層の価値観の変化などにより、これらの伝統は急速に失われつつあります。
シャーマン国際協会は、現地のシャーマンや長老たちとの対話を重視し、外部からの一方的な解釈を排除しながら、語られる神話、歌、儀式の手順、治療法、薬草知識、霊的哲学などを映像・音声・文書の形で丁寧に記録していきます。記録された情報は、研究者や教育機関と共有されるだけでなく、地域住民自身が自らの文化を再認識し、次世代に伝えるための教材としても活用されます。
さらに、私たちは先住民コミュニティの文化的自律を尊重し、伝統の主体的な継承と復興を支援します。そのために、地域ごとに必要とされる支援のあり方を対話を通じて共に考え、祭祀や儀礼の復活、語り部の養成、若者の教育支援などを行います。
これにより、シャーマニズムを“過去の遺物”として扱うのではなく、今も息づく生きた文化として未来へとつなげていくことを目指します。
■ 教育と啓発について
・シャーマニズムについての教育プログラム、セミナー、ワークショップの開催
・誤解や偏見を正すための情報発信
シャーマン国際協会は、シャーマニズムに関する正しい理解を広めることを目的に、教育・啓発活動を積極的に展開します。
近年、シャーマニズムはスピリチュアルやヒーリングの文脈で注目される一方、商業的な誤用や断片的な紹介が広まり、伝統の本質が歪められることも少なくありません。こうした誤解や偏見を是正するために、シャーマン国際協会は学術的根拠と現地の実践に基づいた、バランスの取れた情報発信を行っていきます。
具体的には、一般市民・教育機関・専門家を対象とした教育プログラム、公開講座、セミナー、ワークショップを国内外で開催します。これらの機会を通じて、シャーマニズムの歴史的背景、地域ごとの違い、儀式や霊的哲学の意味、現代社会における意義などについて、実践者や研究者の視点から多角的に学ぶことができます。また、参加型のワークショップでは、伝統楽器の演奏、歌や祈りの体験、薬草の知識などを現地シャーマンの指導のもとで体感できる機会も提供します。
さらに、出版物、ウェブサイト、SNSなどを通じて多言語対応の情報発信を行い、偏見や文化的盗用に対する注意喚起も含めた啓発活動を進めていきます。シャーマン国際協会は、シャーマニズムを神秘化・商品化するのではなく、それぞれの文化圏に根ざした人間と自然、精神と身体のつながりを学ぶ重要な知的資源として捉え、その尊厳と多様性を伝えていくことを使命とします
■ 研究と出版について
・民族学、心理学、宗教学、医療人類学の視点からの研究活動
・学術誌や書籍の出版
シャーマン国際協会は、シャーマニズムに関する学術的な理解を深めるため、さまざまな分野の視点からの研究活動を推進します。特に、民族学、心理学、宗教学、医療人類学といった学際的アプローチに基づき、シャーマニズムが果たしてきた社会的・精神的・治癒的役割を包括的に解明していきます。各地域の伝統実践を単なる「信仰」としてではなく、その文化的文脈や社会構造の中で捉えることにより、シャーマンの知が持つ普遍的かつ実践的な価値を再評価します。
この研究活動は、現地調査・参与観察・インタビュー・音声・映像資料の収集などを通じて行われ、地域コミュニティとの信頼関係を大切にしながら進められます。また、シャーマンや伝統継承者を「研究対象」ではなく「研究協力者」として位置づけることで、対等な立場での知識交流を実現します。
さらに、シャーマン国際協会は研究成果を広く社会に還元することを重視し、学術誌や書籍の出版活動も積極的に行います。査読付きの国際学術誌を創刊しも視野に於き、最新の研究成果を国内外の研究者に提供するとともに、研究者と実践者の対話を促す特集やコラムも掲載していきます。また、一般読者向けの書籍やビジュアル資料、映像コンテンツも制作し、学術知の社会的共有と文化理解の促進を目指します。そして、次世代の文化研究や教育に貢献していきます。
■ 倫理的ガイドラインの制定について
・商業化された「ニューエイジ的シャーマン」と区別し、文化の盗用や誤用を防止
・誠実なシャーマニック・プラクティスの推進
シャーマン国際協会は、シャーマニズムの正しい理解と実践を守るため、倫理的ガイドラインを策定し普及していくことを重要な使命としています。現代社会では、シャーマニズムが一部で商業的に消費され、「ニューエイジ的シャーマン」と呼ばれる自己流のスピリチュアル実践が広がりを見せています。これらの多くは、特定の文化や伝統から断片的に知識を取り出し、儀式の本来の意味や文脈を無視したまま利用する「文化の盗用(カルチュラル・アプロプリエーション)」につながるおそれがあります。
シャーマン国際協会は、そうした誤用を防ぐため、実践者・指導者・研究者が共通して守るべき倫理的原則を明文化し、国際的に共有できるガイドラインとして提示します。この中には、①出自の明確化、②文化への敬意、③商業利用の制限、④現地コミュニティとの連携、⑤知識の出典と文脈の正確な理解、などが含まれます。また、自己宣言や主観的体験のみに基づく“偽シャーマン”の広がりを抑止するため、信頼できる実践者や伝統継承者の認定制度の検討も進めていきます。
さらに、協会は「誠実なシャーマニック・プラクティス」を推進するため、各文化圏の伝統保持者や長老と連携し、現代社会における実践のあり方について対話と共創を行います。これは、伝統を守るだけでなく、時代の変化に応じた柔軟な継承と再創造を支援することにもつながります。倫理的な指針に基づき、深い尊敬と理解に裏打ちされたシャーマニズムの実践を広げることこそが、持続可能で文化的に健全な未来への第一歩であると私たちは信じています。
■ 国際的ネットワークの構築について
・世界中の実践者、研究者、保護活動家をつなぐ国際ネットワーク
シャーマン国際協会は、シャーマニズムに関わる世界中の実践者、研究者、文化保護活動家たちを結びつける国際的なネットワークの構築を推進します。シャーマニズムは、アジア、アフリカ、南北アメリカ、オセアニアなど、地理的にも文化的にも非常に多様な地域に根ざしていますが、それぞれの地域で直面している課題には共通点も多く存在します。たとえば、伝統の断絶、外部からの誤解や偏見、環境破壊や土地の喪失による精神文化の希薄化などがその一例です。
シャーマン国際協会は、こうした課題に対して各地の知識や経験を共有し、相互支援と連帯を深めるためのプラットフォームを提供します。具体的には、国際会議の開催、地域別フォーラムの立ち上げ、共同研究プロジェクト、オンライン交流プログラム、翻訳支援による知識の多言語化などを行い、地理的・言語的な壁を超えた協力体制を築きます。また、文化の担い手である現地のシャーマンや長老が、研究者や政策立案者と対等に意見を交わすことができるような場の創出にも力を入れます。
さらに、国際機関(例:国連先住民族権利フォーラム)やNGO、大学、博物館などとも連携し、シャーマニズムを中心とした文化多様性と精神的遺産の保護に取り組むグローバルな運動の一翼を担っていきます。
このネットワークは単なる情報共有の枠を超え、各地域の伝統を尊重しながら、持続可能で倫理的な未来を共に築くための「協働の場」として機能していくことを目指しています。
■ シャーマン国際協会の国際ネットワーク
地域支部名主な対象地域特徴
1. アジア・太平洋
■ シャーマン国際アジア太平洋協会
モンゴル、シベリア、チベット、ネパール、日本、パプア、インドネシアなど
古層の霊的文化と多様な自然観に基づいた実践が多様に残る地域
2. 南北アメリカ
■ シャーマン国際アメリカ協会
北米先住民(ナバホ、ラコタなど)、アマゾン(アシャニンカ、シピボなど)
精神医療と儀礼の実践が深く融合し、文化保護運動も活発
3. アフリカ
シャーマン国際アフリカ協会
西・中央・南部アフリカ(ヨルバ、サン族、ドゴンなど)
伝統宗教・精霊信仰と地域共同体の関係が深い
4. ヨーロッパ
■ シャーマン国際ヨーロッパ協会
北欧、バルト、ケルト、バルカン地域など
失われた伝統の復興運動や民間宗教との接点がある
5. 中東・中央アジア
■ シャーマン国際中東中央アジア協会
トルコ、イラン、カザフスタン、ウイグル、クルドなど
イスラム文化との接触領域で独自の儀礼形態が見られる
6. オセアニア・ポリネシア
■ シャーマン国際オセアニア協会
ハワイ、マオリ(NZ)、サモア、メラネシア系など
自然との一体感と航海文化に基づくシャーマニズム的世界観が特徴
シャーマニズムを国際的に保護・研究・普及する団体
主な役割文化保存、研究、教育、倫理整備、国際連携